就労定着支援とは?就労移行支援との違いや対象者の利用料金・期間など紹介!

就労定着支援とは?

「就労定着支援」とは?

言葉だけ聞くと、何となく『仕事を続けるためのサービス』とイメージするのでは無いでしょうか。

では、実際の「就労定着支援」とは、具体的にどんなものなのか?

就労移行支援との違いは何か?対象者の利用料金・期間はどうなのか?

今回はそれらについて詳しく見てみましょう!

この記事はこんな人におすすめ

✔障がいを抱えていても、安定して仕事を頑張りたい人

✔就労定着支援について知りたい人

✔就労定着支援が、どんな形で自分の助けになるのか?を知りたい人

✔就労定着支援の利用料金や期間などの条件が知りたい人

✔就労移行支援のメリットを知りたい人

目次

就労定着支援とは何?

就労移行支援とは、最初に話したような

障がい者が就職した後も長く働き続けるために必要な支援を行う制度

のことです。もう少し具体的に言うと、

障がい者が一般就労を行うにあたり、普段の生活や職場の環境・業務内容をスムーズに行えるように支援し、長く働き続けることを目的とした制度

ということです。

障がい者の方が安定して働くまで、大まかには以下の流れがあります。

  1. 働くためにハローワークや市役所などで相談
  2. 就労支援なを利用して就職に向け経験を積んでレベルアップ
  3. ある程度エベルが上がったら、身につけた職業スキルに合ったところへ就職
  4. 安定して長く働く

就労定着支援は最後の4段階目で、障がい者が就職した後も継続的に本人や福祉施設、職場、医療関係の間でコミュニケーションをとって、適切な支援を行うものです。

支援の内容は、後で詳しく説明します。

この制度は2018年4月に改正された障害者総合支援法に基づく制度です。

これまでも障がい者の方が就職するためのサービスはありました。

より安定して継続的に働き続けられるように、就労定着に関して一括した支援を行う制度としてスタートしています。

就労関係の福祉サービスの中には「就労移行支援」もございますが、その違いはどのようなものがあるのでしょうか?

就労定着支援と就労移行支援の違い

就労定着支援と就労移行支援の違いは何か?

主な違いは、以下の通りです。

項目就労移行支援就労定着支援
目的一般就労への移行一般就労での定着
対象者障がい者で、一般就労を目指す方障がい者で一般就労している方
利用期間最長2年間最長3年間
支援内容業務に必要な知識・技能の習得、就労環境の調整、就職活動の支援職場での課題解決、関係機関との連絡調整、生活面の支援

とても簡単に言うと、それぞれのサービスは、

就労移行支援=就職するための支援
就労定着支援=就職した後の支援

のことです。。

先ほど説明しましたが、障がい者の方が安定して働くまでは

  1. 働くためにハローワークや市役所などで相談
  2. 就労支援なを利用して就職に向け経験を積んでレベルアップ
  3. ある程度エベルが上がったら、身につけた職業スキルを活かせる会社へ就職
  4. 安定して長く働く

の流れがありますが、就労定着支援は4段階目のサービスです。

就労移行支援は、この3段階目で受けられる数あるサービスの一つです。

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そして、類似のもので就労継続支援というサービスもございます。

それぞれの主な違いは以下のとおりです。

項目就労継続支援就労移行支援
一般就労への支援ありあり
工賃や給料ありないところが多い
すぐ一般就労できる?その人の頑張り次第だが、すぐに結びつくとは言えない就労継続支援よりは短期間でできる場合が多い
利用可能期間制限なし(※受給者証の支給決定期間内)原則2年
年齢制限A型:18~65歳未満(※65歳以上特例有)B型:制限なし18~64歳まで
その他障がい・難病を抱えている方が対象精神障害者だけ対象としている事業所も中にはある
備考工賃・給料をもらいつつ一般就労の訓練がしたい方におすすめより早く就労したい方におすすめ

就労継続支援や就労移行支援との違いについて、詳細は以下のリンク先をご覧ください。

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就労定着支援の対象者や年齢制限ある?

就労定着支援を受けられる対象者・年齢制限については下の表の通りです。

項目就労定着支援
支援の対象障がい者であれば受けられる
対象となる
福祉サービス
「障害者支援法に基(もと)づく障害福祉サービスの支給決定を受けている」
「就労移行支援」「就労継続支援」「生活支援」「自立訓練」など
受ける条件上記の福祉サービスを受けた後に
一般就労していることが条件。
正社員・パートなど雇用形態は問われない。
年齢制限なし

以上のことから

「障がい者で、就労支援サービスを受けた後に一般就労している人」

が対象者となります。

就労定着支援の利用条件

就労定着支援を利用する条件について、まず対象者が前項の「就労定着支援の対象者や年齢制限ある?」で述べた

「障がい者で、就労支援サービスを受けた後に一般就労している人」

であることに加え

  • 利用期間
  • 利用料金
  • 利用申請

の3つがあります。

こちらも、詳細を見てみましょう。

 就労定着支援の利用期間

就労定着支援の利用期間は、最長で3年間です。

ただ、就労移行支援、利用期間が6か月ある「職場定着支援」がございます。

それが終了した後に、就労定着支援を始めることも可能です。

就労支援サービスを利用される方は、実質「3年6か月」あるとも考えられます。

そして、利用期間の3年間が過ぎても、申請を行って延長が認められる場合も。

全てが順調に行くケースばかりではないですから、とにかく担当のスタッフへ積極的に相談すると良いでしょう。

 就労定着支援の利用料金

前年度の世帯収入によって金額は変わってきます。

一般的に生活保護を受けている方・住民税が非課税の世帯の場合は、利用料金は発生しません。

最大で月37,200円の負担額が発生するケースがあります。

利用料金を決める方法は各市区町村で違いますので、正確な利用料金は必ず担当部署でご確認を。

詳しくは、下の表や参考リンクもご覧ください。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(注1)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)9,300円
一般2上記以外37,200円
(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
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 就労定着支援の利用申請

就労定着支援を申請する流れを説明します。

先に説明したとおり、就労移行支援など就労支援サービスを受けて就職した方は、その事業所で半年間の職業定着支援、その後に就労定着支援も受けられるケースが多いです。

就労支援サービスを受けている場合は確認してください。

その場合に利用申請する時は、(STEP2)からの流れになります。

STEP
就労定着支援を行っている事業所を探す

役所の福祉相談窓口やWEBなどでお近くの事業所を探してみて、気になる事業所があれば問いあわせてみましょう。

今後、相談や支援でお世話になる「就労定着支援員」が付く形になります。

STEP
お住まいの市区町村にある障がい者福祉担当課で申請

就労定着支援サービスを希望することを伝えてください。その後行う手続きの説明もあります。

STEP
聞き取り調査

障害福祉担当課の聞き取り調査の担当者が訪問します。

障がいや通院、生活などの状況確認がありますので、現状を詳しく説明しましょう。

STEP
サービス利用計画案を作成し、提出

個人で作成することもできはしますが、手続きをスムーズに進めるためにも、ここは就労定着支援員さんと一緒に作成してください。

STEP
受給者証の発行

サービスを受ける受給者証が発行されれば、就労定着支援サービスを利用開始できます。

いずれも支援員さんと確認しながら、利用申請を行います。

就労定着支援の支援内容はどのようなもの?

就労定着支援を受けられることになると、実際にどのようなことが行われるのでしょうか?

もしかしたら、皆さんが思っている以上に多岐にわたるかもしれません。

 利用者との面談

就職定着支援サービスの利用者と担当者で面談を行います。

そこで、安定して働くためにボトルネックになっている問題を確認。

その後で担当者も、そして利用者自身も解決に向けて動くことになります。

 関係機関との連絡調整

就労定着支援員は、利用者の

  • 病院などの医療機関
  • 就職先の会社や事業者
  • 利用者のお住まいの各市区町村の役所

など、各関係期間との連絡をトリながら、サービス利用者が長く働けられるよう支援します。

 課題解決に向かっての支援

就職すると、今までとは生活環境が変わります。

すると、想定していなかった問題も出てくることも。

主に

  • 職場での問題
  • 手続き上の問題
  • プライベートでの問題

にの3つ分けられます。

それぞれ、どんな問題があるのでしょうか?

ただ、どんな問題であっても、基本的には自ら問題解決に向けて積極的に動くことが大事です。

 職場での問題

就職したものの、与えられた業務が合っていない、人間関係が上手くいかないことはあります。

その場合、担当者は利用者と一緒に

  • 業務の見直し
  • 配置転換
  • 当事者を交えての話し合い
  • リモートワークへの切り替え

など、支援員さんが間に入って会社側と話し合い、問題解決に動くことになります。

 手続き上の課題

役所関係の書類は、手続きが面倒だと感じる方は多いと思います。

また、その文章も、専門用語が多用され、読みづらいと思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。

支援員さんは、その道のプロです。

ここは信頼して頼ってみると良いでしょう。

しかし、自分自身のことですので、

「なにを準備すればよいのか?
どんな書類が必要なのか?
どんな手続きをするのか?

なるべく、これらのことを理解するようにつとめることは大切です。

 プライベートでの課題

新しい生活を始めると、なれないことばかりです。

試行錯誤の疲れや、失敗を引きずる。

なれない仕事で心身ともにヘトヘトになることは、一般社会でも普通にある話です。

仕事で忙しくて家事がおろそかになったり、休日は疲れが抜けず1日中寝てて何もしない。

そんなプライベートにも影響が出る場合でも、支援員さんと相談して解決に向けて動くことになります。

就労定着支援を受けるメリットは?

就労定着支援を受けるメリットは、ズバリ

「プロのアドバイスを受けられる」

ことにあると言えます。

素人の「頑張って」も、はげみになるとは思いますが、プロの

「頑張るためにはこうしよう」
「上手くいくために、こんな感じで頑張ろう」

といった具体的なアドバイスを受けられます。

利用者本人のメリットは、もちろん会社側にもメリットが。

それぞれの立場におけるメリットを見てみましょう。

 就職者のメリッㇳ

就労定着支援を受けられるメリットは、

「プロのアドバイスを受けることにより、安定した生活と自己実現を達成しやすくなる」

という点です。

作業やコミュニケーションのスキルアップがキャリアアップと安定した生活につながります。

そして、成功体験や仕事のやりがいを得ることができれば、自己肯定感も高まります。

それらが、さらなる好循環を生み、自己実現につながることでしょう。

 会社側のメリット

就労定着支援を受けた利用者が、安定して働き業績アップに貢献できれば、会社にとっても大きなメリットです。

就労定着支援は、そのための労働環境を整えやすくなります。

それにより、障がい者であっても

「居場所がある」
「頑張れる」
「成長できる」

とやりがいを感じられるなら、「バリアフリーを実践して社会に貢献している会社」としてイメージアップにつながります。

就労定着支援を実施している事業所

就労支援事業を行っている事業所は、1種類だけではございません。

どのような事業所があるのでしょうか?

安定した就労のため力になってくれる、数々の事業所を見てみましょう。

就労移行支援事業所

多くの方が利用しているサービスです。

各事業者ごとに取り組んでいる業務を通じて、一般就労を目指します。

その流れで、就職後にも半年間の「職業定着支援」があり、さらにその後「就労定着支援」を行うケースが多くあります。

地域障がい者職業センター

地域障害者(障がい者)職業センターは、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が運営している事業所です。

47各都道府県に1ずつ設置されており、無料でサービスを受けられます。。

おもな支援の特徴として、

  • 障がい者一人一人の状況に合わせた支援計画を立てる「職業評価」
  • 業務に関する講習や支援を通じて、他の方との付き合い方やスキルの向上を目的とした「職業準備支援」
  • 就職後に職場でスムーズに働くために、る「ジョブコーチ(職場適応援助者)」を会社へ派遣する

という点がございます。

また、

  • 精神障がい者向けの専門性が高い「精神障害者総合雇用支援」
  • 雇用主へのアドバイスを行う「事業主に対する相談・支援」

もあり、それらも大きな特徴です。

その他、利用者と会社間以外の、地域で行う活動として

  • 地域における障がい者雇用に関するマニュアル作成
  • 関連機関で職業リハビリテーションに関する情報共有や研修

などもあり、障がい者の就労や社会参加に向けて幅広く取り組んでいます。

詳しくは、下のPDFファイルをご確認ください。

地域障害者職業センターの概要【PDF】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/77.pdf

 障がい者就業・生活支援センター

障害者(障がい者)就業・生活支援センターについては、地域障害者職業センターと似ています。

主な違いとしては、生活面も含めたトータルな支援を行う点です。

  • ハローワークや特別支援学校、先に紹介した地域障害者職業センターなど、各種関連機関と連携
  • 生活面では健康や金銭の管理、年金や余暇活動にまで踏み込んで全面的にアドバイス

公私にわたって会社や公共機関と情報を共有、調整を行い支援します。

国単位で一元管理している地域障害者職業センターとくらべ、よりローカルなエリアで各事業所単位で活動するという違いもございます。

障害者就業・生活支援センターの詳細については、以下のリンク先をご覧ください。

障害者就業・生活支援センターについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18012.html

 民間企業

民間企業でも、独自に就労定着支援を行っているケースもございます。

例として、ソフトバンクのケースを紹介します。

ソフトバンクが提唱する「ショートタイムワーク」は、障がい者など、多くの方が各自の都合に合わせて働けることを目指す活動です。

その活動に賛同する多くの企業が、「ショートタイムワークアライアンス」に登録しております。

障がい者の方が働く場合にも、独自の就労定着支援を行って就職後のサポートに努めている形です。

「ショートタイムワーク」については、以下のリンク先をご覧ください。

https://www.softbank.jp/corp/sustainability/special/stw/#stwa

 その他の団体

その他、就労定着支援を行っている事業所として、まずは、この記事でも先に紹介した「就労継続支援(A型・B型)」がございます。

※※参考リンク:就労継続支援とは?A型とB型の違いやどんな人が利用できるのか手続き方法も併せて紹介

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就労移行支援と同じく、半年間の「職業定着支援」を受けた後で、引き続き就労定着支援を受けることも可能です。

それ以外にも、就労定着支援を行っている「生活介護事業所」「自立訓練事業」の福祉サービスもございます。

それぞれ簡単にいうと

  • 生活介護事業:要介護者に対して身体や生活向上について支援し、就労機会の提供
  • 自立訓練事業:日常生活を営むための訓練や相談・支援を行う

といった特徴があります。

それらのサービスを受けた後に就職した場合は、就労定着支援の開始に関係なく、半年間は定着支援を受けることができます。

まとめ

就労移行支援とは「障がい者が就職した後も長く働き続けるために必要な支援を行う制度」のことです。

利用期間は約3年間ですが、就労移行支援や就労継続支援を受けて就職した時に半年間受けられる「職業定着支援」の後なら、実質3年半サービスを受けられます。

必要な手続きの後に、就労定着支援を受けて安定して働くことができれば、本人や会社側双方にメリットが得られます。

就労定着支援は、さまざまな事業所や団体で行われおり、それぞれ特徴がありますが最終的には安定して長く働くことが目標です。

皆様にとって、この記事が参考になれば幸いです。

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